『未知なる世界に飛び立とう』
art:Fantasista Mayumi 作
仕事と子育てに追われる日々を送るシャーロット。暖かな春の夜、子どもたちが寝静まった後、彼女は寝る前のひとときを楽しもうと、読みかけの本を広げていました。窓からふわっと入る心地よい風が、忙しい心を少しだけ癒やしてくれるようでした。
ふと窓辺に目をやると、一羽のカラフルな鳥がとまっていました。その鳥はまるで話しかけるように口を開き、「あなたが行きたいところへどこにでも連れて行ってあげます」と言いました。驚きながらも好奇心に駆られたシャーロットは、「私を美しい自然の中に連れて行ってください」と答えました。
すると鳥は、「それでは私の背中にお乗りください」と優しく促しました。シャーロットは少し不安を感じながらも、その背中に乗りました。その瞬間、鳥はふわりと飛び立ち、夜空へと舞い上がりました。
鳥はシャーロットの望む場所へと静かに導いていきました。眼下には広がる緑の草原、静かな湖、そして輝く星空。彼女は風を感じながら、日常の疲れを忘れるほどの解放感に包まれていました。空から見る世界はどこまでも広く、彼女の心を自由にしました。
楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、気づけばシャーロットは自分の部屋の机で、本に突っ伏して眠っていました。「あれは夢だったのかな…」彼女はそう思いながらも、心が温かくなるような空の旅を思い出していました。
その時、机の上に一枚の美しい鳥の羽が置かれているのに気づきました。「この羽は…」シャーロットが手に取ると、突然その羽が輝き始めました。そして机に文字が浮かび上がりました。
「いつでもあなたが望むところに連れて行ってくれるアイテムを贈ります。」
目の前には、美しいティーカップが現れました。そのカップには、さっき背中に乗った鳥の姿が描かれていました。驚きながらも嬉しさを感じたシャーロットは、さっそく紅茶を淹れてみることにしました。
紅茶を一口飲むと、不思議なことに、鳥と一緒に飛んだ空の風景が鮮明に脳裏に浮かんできました。緑豊かな山々、穏やかな湖面、夜空を流れる星々。その景色を思い出すだけで、シャーロットは心が軽くなり、日常の疲れが癒やされていくのを感じました。
このティーカップは、彼女にとって特別な存在になりました。忙しい毎日の中で、ほっと一息。このカップで紅茶を飲むと、心が穏やかになり、再び前向きな気持ちを取り戻すことができるのです。
それ以来、シャーロットはこのティーカップを大切に使い続けました。紅茶を飲むたびに鳥との冒険を思い出し、新しい世界を見たくなったら望んでみる。
自分が知らない世界を見せてくれるカップに、ワクワクと心が解き放たれる感覚を楽しんでいました。そして、忙しい日々の中でも自分の時間を大切にすることの喜びを知るようになるのです。
このエキゾチックバードのカップは、ただのお茶の道具ではありません。過去と未来、冒険と想像力、そして心の安らぎをもたらす魔法のアイテムなのです。
このカップでお茶を飲むたびに、新たな望みが心に芽生え、あなたを未知なる世界へと誘ってくれます。
文:ゆか
朗読音声はこちらから >> 朗読:言葉のファンタジスタまゆみさん
art:Fantasista Mayumi 作
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