『妖精からの贈り物』
art:Fantasista Mayumi 作
イギリスの田園地帯、グロスターシャーにあるロイヤルウースターの工房で、かつて特別なティーカップが誕生しました。そのデザインは、ピンクと白のバラが咲き誇るイングリッシュガーデンをイメージしたもので、「ロイヤルガーデン」と名づけられました。このカップは、優雅で穏やかなひとときを象徴する存在として、今もなお愛されています。
しかし、このカップの誕生には、不思議な物語が秘められていました。
工房で働くオリビアは、ある日カップのデザインを考えながら、近くのイングリッシュガーデンを散策していました。バラの華やかな香りに誘われ、足を止めると、「こんにちは」という可愛らしい声が聞こえてきました。
驚いて辺りを見回すと、ピンクのバラの上に小さな妖精がちょこんと座っていました。妖精はオリビアに微笑みながら、ピンクと白のバラを二本差し出し、「これはあなたへのプレゼントよ。困ったときにはこのバラが助けてくれるからね」と言い残し、姿を消してしまいました。
オリビアはその場に立ち尽くし、贈られたバラを大切に抱えながら工房へ戻りました。部屋に飾ったバラを見つめていると、部屋中に広がる甘い香りが彼女の心を穏やかに包み込みました。その瞬間、先ほど出会った妖精と、一つのカップのイメージが脳裏に浮かび上がったのです。
その時のインスピレーションをもとにデザインされたのが「ロイヤルガーデン」のカップでした。このカップは、まるで咲き誇るバラの庭園にいるかのような香りと癒やしをもたらします。忙しい日常に追われる人々の心を解放し、安らぎを与えるだけでなく、新たなひらめきをもたらす魔法の器として語り継がれるようになりました。
春のある日、伯爵夫人がグロスターシャーの邸宅でガーデンパーティーを開きました。そのパーティーで使用されたのが、このロイヤルガーデンのカップでした。美しい庭園の真ん中に並べられたテーブルには、ピンクと白のバラが描かれたカップが輝き、招待客たちの目を引きました。
その中には、都会の喧騒から逃れるために田舎を訪れていた若い女性、クララの姿もありました。クララがカップで紅茶を飲むと、バラの甘い香りが彼女を包み込み、幼い頃の思い出が鮮明によみがえりました。それは、亡き母と一緒に庭でバラを摘んだ幸せな日々でした。
クララはその日以来、ロイヤルガーデンのカップに特別な想いを抱くようになりました。そして、このカップを購入し、新しい生活の中で大切に使うようになりました。どんなに忙しい日でも、このカップでお茶を飲む時間だけは、彼女にとって心の安らぎと亡き母とのつながりを感じるひとときでした。さらに、このカップは行き詰まったときに新たなひらめきを与えてくれる特別な存在となりました。
ロイヤルガーデンのカップは、日常の中に小さな贅沢と心の平穏をもたらしてくれる特別な器です。このカップでお茶を飲むたびに、バラの香りに包まれたひとときを楽しみ、大切な思い出や未来への希望が広がるはずです。
もしかしたら、あなたのもとにも可愛い妖精が現れ、魔法をかけてくれるかもしれませんね。
さあ、このロイヤルガーデンのカップで、あなただけの心温まるティータイムの世界へ出かけてみませんか?
文:ゆか
art:Fantasista Mayumi 作
👉 https://www.instagram.com/mayumi.kotsubo